「あ〜あ。俺が王子の役やりたかったなぁ〜。」
一応ロイの控え室とあてがわれた、ホールの下にある部屋の一室で
エドワードは不満げなため息を漏らした。
「鋼のは、まだそんなことを言っているのか。」
呆れたように呟いたのは、いまだ純白のドレスに身を包んだままのロイ。
その姿は何度みても、神々しいまでに綺麗で。
他の男の目に晒してしまったのが、やっぱり悔やまれる。
「こうやってさ・・・・」
胸の底にある嫉妬心を押し込めて、ロイに近づいたエドワードは、
椅子に座ったままのロイの顎に右手をかけ、上を向かせる。
「おお、我が運命の人よ・・・・・。」
ホークアイが劇中で言ったセリフを言えば、驚いたようにエドワードを
見上げていたロイが、ふわっと優しい笑みを見せる。
普段は冷たい印象を与えがちなロイが、エドワードだけに見せるその微笑。
絶対に他の奴なんかには譲れないと、エドワードは思う。
「どうか、私のこの口付けで目を覚ましてください。」
まだ演技を続けるエドワードに、ロイはクスクスと笑いだす。
「中々の名演技だな・・・・。」
ゆっくりと近づくエドワードの顔を見つめて、ロイが呟く。
「だろ?」
ニヤリと、吐息も触れる程の距離で、エドワードが笑って。
クスクスと、いまだ笑いを零すロイの唇と、エドワードの唇がゆっくりと重なっていく。
「ん・・・・・・。」
密かに漏れる甘い吐息が、エドワードの熱を煽る。
おずおずと伸ばされたロイの両手が、エドワードの首筋に絡みつく。
まるで自らねだるようなその仕草に、エドワードはゆっくりと口付けを深いものへと変えていく。
「ふ・・・・ん・・・・・。」
うっすらとあいた唇から口腔へと舌を忍ばせ、奥へと逃げようとする舌を絡めとる。
吐息さえも奪う強さで続く口づけに、エドワードの背へと回されたロイの両手が
ぎゅっとエドワードの服を握り締める。
「あ・・・・・はぁ・・・・・・・。」
思う存分甘い唇を味わって、漸く唇を離せばロイが忙しなく息をつく。
その唇の端からは、どちらのものとも分らない唾液の後。
もう一度唇を近づけで舐め取れば、ロイの身体が小さく震える。
「鋼の・・・・・・もう、着替えないと・・・・・・。」
想像以上に深い口付けをされて、すっかり力の抜けてしまったロイが
エドワードの背に伸ばしていた手を離し、身体を離そうとする。
「ダメ。まだ離さない。」
「ちょっ・・・・鋼の!?ん・・・・・んぅ・・・・・」
その身体を強引に引き戻して、エドワードは再びロイの唇を塞ぐ。
ロイが口付けに気を取られている間に、エドワードの右手はロイの纏う
胸の大きく開いたドレスから進入を果たし、胸の突起をつまむ。
「やぁ・・・・!」
その刺激に、ビクリと身体をすくませ、塞がれたままの唇からくぐもった
悲鳴をロイが上げる。
「は・・・・鋼の?まさか・・・・ここでするつもりじゃないよな。」
どうにかエドワードの口付けから逃れたロイが、泣きそうな顔で訴えてくる。
「うん。俺も最後までする気はなかったんだけどさ・・・・・。」
「じゃ・・・じゃあ離し・・・・・・。」
エドワードの言葉に、ホッとしたようにロイは自分を抱きとめる腕から、逃れようとするが。
「こんな色っぽい姿見せられて、我慢できるほど俺は大人じゃありません。」
きっぱりと告げて、エドワードはロイの首筋へと唇を落とす。
「そ・・・・そんなこと言われても・・・・ちょっ、鋼の・・・・ひゃ!・・・・あ・・・・・。」
弱い首筋を舐められて、ロイの身体に甘い痺れが走る。
理性は抵抗をしているのに、快楽にすっかりなさられた身体は、更なる刺激を欲して
行為の先を求めてしまう。
「クスッ・・・・・大佐は心より、身体の方が正直みたいだね。」
エドワードの指摘に、かぁっとロイの頬が染まる。
「う・・・・煩い、誰のせいでこうなったと思っているんだッ!?」
「・・・・・・・・・・。」
瞳を潤ませたまま拗ねるように言う姿は、とても29才とは思えないほど幼くて。
エドワードに残っていた最後の自制心のひとかけらを、粉々に打ち砕く。
「あ〜〜〜もうッ!!何でそんなに可愛いかなぁ!!」
「は・・・・鋼のッ!ちょっ・・・やぁ!ん・・・・・。」
がばりとロイの上に覆いかぶさったエドワードは、ドレスの上からそっとロイの下肢に触れた。
そこは既に熱を持って、緩く立ち上がりはじめていて、エドワードの笑みを誘う。
「大佐だって、ここまできたら我慢できないんじゃない?」
「あ・・・・・ふぁ・・・・・。」
ドレスの上からのもどかしい刺激に、ロイは自分のドレスをぎゅっと掴んで耐えようとする。
しかし、ゆるゆると煽られる熱は、もう我慢できないほどロイの中に浸透してしまっていて。
「あ・・・・・鋼の・・・・・・もう・・・・。」
「・・・もう限界?」
負けを認めるのは悔しいが、この熱を解放してもらわないことにはどうにもならなくて、
荒い息を繰り返しながら、ロイは諦めたようにコクリと頷く。
「じゃ、ちょっとこの体制だとやりにくいから、立ち上がってくれる?」
そういってロイに覆いかぶさっていたエドワードは、一度身体を起こすとロイの手を取る。
エドワードの言葉に、ロイは力の入らない身体を叱責して、エドワードの手を借りて
どうにか椅子から立ち上がる。
「ちょっと硬いかも知れないけど・・・・。」
言いながら、エドワードはロイの身体を近くにあった机の上へと押し倒す。
「鋼の・・・・・・?」
不安げな眼差しでエドワードを見上げるロイに、安心させるように額にキスを落として。
エドワードの右手がロイの背中へと回り、ドレスのファスナーをはずす。
ファスナーが外されることによって、少しずつ露になっていくロイの白い肌。
「あ・・・・・。」
羞恥に頬を染める姿、何もかもが艶を含んでエドワードを誘う。
「う・・・んっ!鋼の、いや・・・・・ッ!」
誘われるまま胸の突起に口付けを落とすと、ロイの身体がビクリと震える。
「いやじゃないだろ?こんなに感じてるくせに。」
「ひゃう!」
言葉と共に唇を寄せているのとは反対の突起を弾けば、ロイの身体が更に大きく跳ねる。
「こっちも我慢できないみたいだしな。」
いつの間にか、ドレスの裾をたくし上げたエドワードの生身の左手が、下着から入り込んで
すっかり立ち上がり、透明な液を零すロイ自身を握りこむ。
「や・・・・、鋼の・・・・・手袋・・・・はずして・・・・。」
布の感触が気になったのか、ロイがフルフルと首を振りながら小さく呟く。
「布の感触が嫌?」
「・・・・・・・・・・そんな布越しじゃなくて、鋼のに直接触ってもらいたい・・・・・・。」
思いがけないロイの言葉に、エドワード手がピタリと止まる。
自分の右腕は生身の腕ではないから。
オートメイルの右腕が、エドワードの中でコンプレックスとなっているのは否めない。
これは自分の犯した罪の証。
自分が犯した禁忌の証拠とも言うべきこの腕を、ロイはいつも何のためらいもなく受け入れてくれる。
そんなさりげない言葉に、どれ程自分が救われているのか、この人は分っているのだろうか。
「鋼の?」
動きを止めてしまったエドワードを、ロイがどうかしたのかと、視線で問う。
何でもないと緩く首を振って、エドワードは両手の手袋を外す。
「これでいい?」
問いかけると、こっくりとロイが頷く。
それを確認すると、エドワードは再び左手をロイ自身へと伸ばし、下着を取り去ってしまうとじかに触れる。
「あ・・・・ふぁ・・・・。」
「大分焦らしちまったからな、先に一度大佐をいかせといてやるな。」
「い・・・・いいッ!!余計なお世話だッ!!」
エドワードの言葉に、ロイは慌てたようにエドワードの頭を押し返そうとするが、
既に力の抜けきった身体では、何の抵抗にもならない。
「まぁ、遠慮するなって。」
ニヤっと笑うと、エドワードは躊躇うことなくロイを口内へと含んだ。
「ん・・・・・あッ、や・・・・・鋼のッ!!」
熱い口内に含まれて、ロイの口からは押さえようのない高い声が上がる。
「鋼の・・・・・ッ、お願いだから、離し・・・・・ッ」
もともと焦らされ続けていただけに、それはあっけないほど簡単に張り詰め、限界を迎えてしまう。
「いいよ、いって・・・・。」
「あ・・・や・・・・・は・・・がねの・・・・ああッ!!」
エドワードが更にきつく舌を絡めると、高い悲鳴を上げてロイはエドワードの口内へと快楽の証を放つ。
「ふ・・・あ・・・。」
荒い息をつぐロイの目の前で、エドワードは口内に放たれたものを、何のためらいもなく飲み干す。
「・・・・・・・なんてことを・・・・・。」
目元を赤く染めたまま、恨みがましそうにロイがエドワードを見つめる。
「大佐のものなら、何一つ無駄にしたくないもんで。」
「なッ・・・・・!」
悪びれもせずいってやれば、ロイは言葉をなくして口をパクパクとする。
「あんまり、可愛い顔すんなよ。押さえがきかなくなるだろ。」
可愛い仕草にたまらなくなって、頬に唇を寄せれば。
「・・・・・君がいつ押さえをきかせてくれたんだ・・・。」
くすぐったそうに肩をすくめながら、ロイが呆れたように答える。
「あ〜〜〜〜、まぁ、そこは俺も若いもんで・・・。ね、あんまり無理はさせないようにするからさ、
入れてもいい?」
あはは・・・・と照れたように笑いながらエドワードが問う。
「・・・・・ばか者。こんな中途半端なままで、私にどうしろというのだ。」
プイっと横を向いてしまったロイの、思ってもいなかった返事に、エドワードは驚いたように目を見張る。
しかし、次の瞬間ニヤリと嬉しそうに微笑んで。
もう一度エドワードはロイの頬に、口付けた。
「ふ・・・・、あ・・・・・鋼のッ!!」
十分にほぐされた場所にエドワードを受け入れて、ロイが熱い吐息をもらす。
「大佐・・・・だいじょ・・・ぶ?」
いつもよりきつい締め付けに、そのまま持っていかれそうになるのをこらえながら、
荒い息を隠すこともせず、エドワードがロイを覗き込む。
「いつもと、場所が違うから、緊張してる・・・・・?」
ロイの背中にあるのはいつものベットではなくて、場所はいつ誰が来るとも分らない控え室で。
「あ・・・・・大丈夫・・・・だからッ!」
だから早くもう限界を迎えている、この熱をどうにかしろと言わんばかりに、エドワードにしがみつく。
「ん・・・・りょ〜かい。」
そろそろ我慢も限界になりつつあるエドワードが、ゆっくりと律動を開始する。
「ん・・・・・っ、つ・・・・・あ・・・・・・。」
エドワードの動きに合わせて、ロイの口からは押さえようのない声が零れる。
白い肌をうっすらと赤く染めて快楽にあえぐロイは、綺麗で、それでいてどうしようもなく淫らで。
「ふっ・・・・大佐。あんたちょっと色っぽすぎ・・・・・。」
愛しさに駆られて、エドワードはぎゅっとロイを抱きしめる。
「ああッ!」
抱きしめられたことによって、より深くエドワードを感じてロイが悲鳴を上げる。
「鋼の・・・ツ・・・もう・・・・限界・・・・・・。」
「俺も、そろそろ限界っぽいから、・・・・・、いっていいよッ!」
「あ・・・・・・ふ、や、エドッッッ!!」
限界まで突き上げられて、無意識にエドワードの名を呼びながら、ロイが2度めの解放を迎える。
「・・・・・・つッ・・・・・。」
達すると同時に切ないほど詰めつけられて、エドワードもロイの中へとすべてを解放する。
エドワードの欲すべてを身体の奥で受け止めて、ロイはその細い肢体を揺らした。
「うう、腰がだるい・・・・・・。」
「すみません。」
先ほどから、ロイの控え室では同じような会話が繰り返されていた。
「加減するっていってたくせに・・・・・。」
じとっと見られても、突っ走ってしまった自覚があるだけに、エドワードは
何も言い返すことができず、ひたすら謝り続けていた。
「いや・・・・本当に今回は悪かったから、責任はちゃんと取るから!」
「・・・・・・ホントか?」
なんとかロイの機嫌を直したくて、思わず口走ってしまったが、パッと顔を
輝かせたロイに、早くもエドワードの中で後悔が押し寄せる。
うう、とんでもない仕事とかやらされたらどうしよう・・・・・
そう思いつつ、エドワードは諦めたように頷いた。
「お・・・・おう!男に二言はないからな、ちゃんと責任は取る。」
「そうか・・・・ならばそうだな・・・・・・。」
考えこむロイに、エドワードはドキドキしながらその回答を待つ。
「よし、そうだな!これから一週間、毎日私の執務室に花を届けること!これにしよう。」
「え?」
予想外の依頼に、エドワードはが驚いたようにロイを見つめる。
「なんだ?何か不満か?」
「あ・・・・・いや、不満とかじゃなくって・・・・・。」
「ならば決定だな。」
上機嫌で頷くロイ。
(それって、大佐に毎日会いにいけってことですか?)
多分直接聞いたところで、素直に答えてなどくれるわけないから、エドワードは
心の中でそっと問いかける。
もしかしたら、自分は自分が思っている以上に、ロイに愛されているのかもしれない。
口には出さないけれども、お互いにけっこう重症みたいだと気がついて、
エドワードは小さく笑うのだった。
END
は〜もう、なんだか馬鹿ップルばんざーい、みたいな話で失礼しました。
うう、初のエドロイ18禁なのに、こんな話しか書けない私って(T−T)
エッチ度はどうなんだろ?今まで書いていた話より、上がったような、下がったような。
なんだか、最近感覚が麻痺してきて、どの辺で規制がかかるものなのか
分らなくなってきました。
お目汚しかも知れせんが、少しでもエドロイの同志様に気に入っていただければ幸せでございます。