--------------朝、目が覚めたら--------。
・・・・・・身体が縮んでいた。



「鋼のーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!」
絶叫とともに、ロイは自宅の隣室で寝ていたエドワードをたたき起こす。
「ん〜〜〜〜〜、あと5分〜〜〜〜〜。」
「寝ぼけるなッ!!起きろ〜〜〜ッ!!」
普段の冷静な姿はどこへやら。
ロイはすっかり取り乱したまま、エドワードの太ももの辺りに乗り上げると、襟首を掴んでガクガクと揺さぶった。
「んぁ?なんだよ〜〜〜。」
激しく揺さぶられて、漸く目をごしごしとこすりながら、エドワードかゆっくりと目を開ける。
「----------。」
目に飛び込んできたものに、思わずエドワードの手が止まる。
「コレは一体どう言うことだ!?君は、一体私の身体に何をしたッ!!?」
エドワードの上に乗っかったまま、慌てたように掴みかかっている人。
その人は、エドワードの身体と比べても一回り小さかった。
ぶかぶかのパジャマ姿が、なんとも言えず可愛い。
ズボンは多分大きすぎて、はいていられなかったのだろう。
スラリとした細い足は、惜しげもなく晒されていた。
「・・・・大佐ッ!!スッゲー可愛いッッッ!!」
すべての話をすっ飛ばして、エドワードは思わず自分の上に乗ったままのロイを抱きしめる。
「ちょ!?鋼のッ!?こらッ!!」
「は〜〜〜。初めて大佐をすっぽりと包み込めたぜ〜〜〜。」
「は・・・鋼の、そんなに締め付けたら、苦し・・・。」
感激のあまり、ぎゅうぎゅうと締め付けられて、ロイが苦しげな声を漏らす。
「あ、ごめん。」
素直に謝って、エドワードが抱きしめる腕の力を弱める。
「・・・・全く、少しは加減してくれ。」
苦しさの為か、少し涙目になった瞳に上目遣いに見上げられて、ドキンとエドワードの鼓動が高鳴る。
いくら中身は29才とはいえ、こんな幼い子供相手に何を・・・とは思うのだが。
普段は冷たく自分を見下ろす瞳が、まるで縋るように自分を見上げる姿は、エドワードの(元々そんなに強くない)自制心を揺るがせる。
突然動きを止めてしまったエドワードを、ロイが不思議そうに見上げる。
「鋼の?」
首を傾げて自分を呼ぶロイの声に、はっとエドワードは我に返る。
コテンと首をかしげる仕草が、幼い顔と相まって違和感なく似合っている。
(・・・やばい。本ッッッッッ気でシャレにならないほど可愛いッ!!)
聞かれたら間違いなく殺されるであろう言葉は、心の中でこっそり呟いてエドワードは、再びロイをじっと見つめた。
そして、漸く根本的な問題を思い出す。
「・・・・・ところで、大佐なんでそんな姿になってんだ?」
「だから、それは私が聞きたいとさっきから言っているだろうッ!」
怒りをあらわに怒鳴られても、やっぱりこの姿では可愛いだけで。
もう一度抱きしめたい衝動を、エドワードはなんとか押さえ込む。
「どうせ君のろくでもない、いたずらじゃないのか?」
「あ、ヒデーッ!なんか、あったら、全部おれを疑うのかよ!?」
「・・・・・・違うのか?」
エドワードの太ももに乗ったまま、ロイは腕を組むと意外そうにエドワードを見つめる。
「あ〜〜〜。いや、今回は多分、おれのせいだと思うけどね〜〜〜。」
あはは・・・と乾いた笑いを浮かべたまま、ぽりぽりと頬をかくエドワードに、怒る気もすっかりうせて、ロイはパタリとベットに突っ伏すのだった。